書籍:アイデアのつくり方、アイデアのヒント

こんばんはuzakadeuです。


 私は水平思考系の問題が得意で、内容はともかくアイデアを思いつく事自体には自信があったのですが、最近ちょっとスランプ気味*1でした。


 それで、そもそもアイデアって何だろうと購入したのが次の二冊の本です。


 実は「アイデアのつくり方」の方は二回目の入手です。社会人になって最初の会社に入社した時に上司から(たぶん)プレゼントされたのですが、当時はそんなにいい本だと思わず、ろくに読みもしませんでした。そのうち引っ越しのどさくさにまぎれて紛失してしまいました。

 今回は必要に迫られて、改めて読んでみました*2

イデアのつくり方

 小学校の教科書のような大きい文字で、実質たった60ページ程度の本です。たぶん1時間で目を通すことができると思います。意味を考えながら気になった箇所を2,3度振り返っても、たぶん1日で読める本です。


 この本で言ってる事はたった二つ。

  • イデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということ。
  • イデアの作成は(5段階の)明確な方法に従う」ということ。


 一つ目の「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」という話。確かに身の回りで考えてみると、突飛な発明と思えるものも(実現手段は別として)着想そのものは既存のものの組み合わせであるようです。

 例えば、GooglePageRankは、AltaVistaという検索エンジンの検索結果に表示されていたリンク数にきっかけを得、学術論文の評価基準の一つである引用回数を組み合わせたのものです。またiPhoneは(着想はiPadの方が先だったみたいですが)携帯電話にMacOS Xとタッチスクリーンを組み合わせたものです。


 二つ目の「アイデアの作成は(5段階の)明確な方法に従う」は、アイデアの作成は次の5段階を必ず経るものだという話。

  1. 資料集め。生涯に渡って集める一般的知識と、特定の課題について短期的に集める特殊知識を調べる段階です。
  2. 資料の咀嚼。集めた要因で組み合わせをたくさん作ったり、それぞれについて考察したりして苦悩する段階です。
  3. 孵化段階。その課題を忘れる段階です。忘れるといっても実際には無意識に脳が思考を継続してくれてます。
  4. イデアの誕生。課題に関するアイデアが突然思い浮かびます
  5. チェックする段階。思いついたアイデアの具体性・実現性を補充・チェックする段階です。もちろんここでアイデアがボツになる事だってあります。

 昔から「作文三上(馬上・枕上・厠上)」と言います。私自身も、仕事で停滞した問題の解決方法を突然お風呂やウォーキング中に思いつく事はたびたびありました。同じ事を言っているのだと思います。


 さて、この本は少々分かりにくいです。大まかに言ってる事はわかりますが、細かいところは作者の意図が分かりません。実践する段階になって「あれ?具体的にはどうするんだろう?」と思う人は多いんじゃないかと思います。そこでおすすめなのが次の「アイデアのヒント」という本です。

イデアのヒント

 この本で言ってる事も「アイデアのつくり方」と全く同じです。つまり

  • イデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」ということ。
  • イデアの作成は明確な方法に従う」ということ。

 そうであれば、私にとってこの本の価値は何かというと、詳しい実践的で具体的な説明と、その明るい文調にあります。
 広告業界の人でもあり教育者でもあった著者は、その失敗を基にしたノウハウを惜しみなくこの本に注いでいます。学生が理解しやすく具体的で実践的な説明を、多くの有名なアイデアマンや学者の言葉を引用して繰り返し補強していて、大変分かりやすい。
 明るい文調は、アイデア作りが一部の天才のものではないと思わせてくれ、「私もやればできる」と自信をもらいました。


 この本で私が一番気に入ったのは次の標語?です。

何よりも肝心なのは「根気」だ。
才能じゃない ーー 才能があって成功しない人はうようよいる。
金じゃない  ーー 金持ちに生まれて、貧しさの中で死ぬ人はたくさんいる。
天才じゃない ーー 天才が報われないのは、ほとんど常識だ。
教育じゃない ーー 世の中には学のある落伍者があふれている。
運じゃない  ーー 運命の気まぐれは何人もの王の命を奪ってきた。
根気と決意だけがすべての道を拓く。

 本田宗一郎氏は「私が手がけた事業のうち99%は失敗だった。1%の成功のおかげで今の私がある。」と言ってますし、トーマス・エジソンは「1000回の失敗をしたわけではない、1000のステップを経て電球が発明されたのだ」と言ったそうです。私も肝に銘じたいと思います。


 本の内容をそのまま書いちゃうと拙いので、この本で特に印象に残ったところを紹介しておきます。本を買って読む方がいいと思います。

  • もっと楽しもう。楽しんでやったヒトほどよい成果をあげる。
  • イデアはそこにある。アイデアが得られるかどうかは、「アイデアは存在する」というあなたの信念と、あなた自身への信頼にかかっている。
  • 子供に戻ろう。子供は「前例」も「ルール」も知らないから、問題への解答を探す時は自分の力を頼りに新しい視点で物事をながめる。
  • 知りたがりになろう。型にはまった生活から抜け出そう。見る事を学ぼう。
  • ビジュアルに考える。水平思考。無意識に制約を作らない。心を引き締めるための制約を作ろう。
  • 似たものを探す。常識を破ってみる。もしこうだったらと考えてみる。ほかの分野の力を借りる。冒険してみる。
  • 質問を変えてみよう。質問を変える=見方を変えると今まで見えなかったものが見えるかも知れない。
  • 情報をかき集めよう。
  • イデアをとにかくたくさん出そう。立ち止まって分析するのは後に回すこと。
  • いったん全部忘れよう。
  • ひらめいたら実践しよう。いま始めよう。本気でやろう。締切をつくれ。やるべき事をリストアップしよう。根気が肝心。根気を支えてくれる理由を見つけよう。

                                  以上です。

*1:ずっと暖めていた(一部実装中だった)アイデアが立て続けにアメリカのスタートアップに先を越されたショックが原因かも知れません。

*2:私は必要に迫られないと素直になれないんだなぁとしみじみ。