円高で何が困るの?

こんにちはuzakadeuです。


2010年8月27日現在、日本は円高で大騒ぎです。輸出企業の経営者はとても困った様子で、政府に円高対策を求めています。
私なんぞは「大変なんだぁ」と呑気に傍観しているだけなんですけど、ふと

円高で何が困るの?
と疑問に思いました。


経済学の「け」の字も知らない私が、その疑問についてあれこれ考えてみました。

円高の短期的な影響

一般的に「為替差損が発生し、輸出企業の利益が目減りする」と説明されます。
例えばある会社が100,000円の商品をドル建てで外国へ輸出すると、契約時に100円/$ならば1,000$の売り掛けとなります。支払いを受けた時に50円/$まで円高が進行すると、円価格は50,000円となります。つまり為替差損が50,000円発生します。この為替差損で、輸出企業は損害を被るというわけです。


確かに上の説明に間違いはないのですが、普通の企業はこんなことしません。

ドル建てで契約した場合、為替コストを確定するために為替ヘッジ(通貨オプションなど)を使い、為替リスクをゼロにできます。

つまり、上記の例の場合、契約時に「100円/$でドルを売る約束を銀行と交わす」または「100円/$でドルを売る権利を買う」ことができます。これで為替のことは忘れることができます。

円高の長期的な影響

ある会社が、材料を1$で輸入し、人件費等100円かけて製品を作り、輸出したとします。

  • 100円/$ならば、材料費が100円+人件費等100円で、出荷価格は200円=2$です。
  • 50円/$ならば、材料費が50円+人件費等100円で、出荷価格は150円=3$です。

つまり100円/$ → 50円/$へ円高が進むと、ドル建て出荷価格は2$ → 3$へ1.5倍に値上がりします。つまり商品の価格競争力が落ちて、通過の安い国の企業に商機を奪われてしまいます。
実は、これは因果関係が逆で、

価格競争力のある国が通貨高になることで、価格競争力が均等になるように調整されている
のだと思います。


理屈の上では為替レートは物価水準(購買力平価)によって決まります。相対的に物価の安い国の通貨が高くなるのです。
これは考えてみれば当たり前で、物の値段が安いのに通貨が安いままなら、国内で買い付けた物を輸出するだけでいくらでも儲けられることになります。*1


つまり

長期的な円高傾向は抗うものでなく、ごく自然な調整である

ということです。

結論

以上から何だかすごく平凡な結論に達しました。

  • 短期的な為替リスクにはヘッジで対応する。
  • 長期的な通貨高傾向には商品力や流通改革などで対応する。

つまり

円高には円高なりの対応をすればよい
という話でした。


                                     以上です。

*1:例えば、日本で50円の物がアメリカで1$で売れる場合、為替レートが100円/$なら単に輸出するだけで利益率50%の商売になります。この場合、50円/$が適正な為替レートなので、円高が進みます。